不用品やゴミを処分できるサービスには、さまざまな種類があります。どのような不用品・ゴミ回収業者を選べばいいですか?
それぞれの特徴やメリット・デメリットを比較し、自分に合ったサービスを選ぶことが大切です。優良な業者を選ぶポイントも知っておきましょう。
不用品やゴミの処分に困ったら、不用品・ゴミ回収業者を利用してみましょう。片付けにかかる時間や労力を節約できるだけでなく、不用品の高価買取が可能なサービスもあります。
ただし、高額な料金請求をしてくる悪徳業者も存在するため、業者選びのポイントを知っておくことが大切です。
この記事では、不用品回収のプロが、不用品・ゴミ回収業者の代表的な種類やそれぞれの特徴、優良業者を見抜くポイント、見積もりを取る際の注意点などを分かりやすく解説します。
日本大学文理学部卒。後に、不用品回収専門メディア「不用品回収の窓口」に参画。信頼関係を第一に考え、多くの不用品回収業者の業務改善に注力する。同時に、環境省が主催する「使用済製品等のリユース促進事業研究会」へ定期的に参加し、不用品回収業者と協力して不用品回収やゴミ問題解決に取り組んでいる。不用品に関する多様な記事の執筆・監修も積極的に担当。
このページの内容
不用品・ゴミ回収業者の種類と特徴
自力では捨てられないゴミがあるのですが、どの業者に引き取りを依頼すべきか迷ってしまいます。
そういったサービスには、不用品回収業者、自治体、引越し業者、リサイクルショップなどの種類があります。不用品の量や種類に応じて、この4つの選択肢から選ぶとよいでしょう
ここでは、不用品・ゴミ回収業者の主な種類や、それぞれのメリット・デメリットについて紹介します。
ゴミをまとめて処分するなら不用品回収業者
不用品の量が多い場合や、ゴミをまとめて処分したい場合は、不用品回収業者がおすすめです。
不用品回収業者とは、一般廃棄物処理業の許可を取得し、家庭から出る不用品の処分や収集運搬を行う事業者を指します。不用品の搬出も行ってくれるため、自分では外に運び出せないゴミの処分にも適しています。
不用品回収業者が引き取るのは「不用品」のため、状態が悪く、販売には適さない物品(廃棄物)も回収可能です。そのため、あらゆる不用品に対応できる不用品回収のプロとも言い換えられます。
一方、不用品回収業者には悪徳業者や違法業者も存在しており、優良業者の見極めが難しいのがデメリットです。
料金をなるべく抑えたい場合は自治体
料金をなるべく抑えたい場合は、お住まいの市区町村に不用品回収を依頼しましょう。自治体には、不要になった粗大ごみや、テレビ・エアコン・冷蔵庫・洗濯機などの廃家電の処分を申し込めます。
自治体が回収を行ってくれるという安心感や、一般的に不用品回収業者よりも料金が安くなるのがメリットです。
ただし、デメリットもいくつか存在します。
- 一度に多量のゴミが出た場合、自治体によっては対応できない
- 不用品1点ごとに料金がかかるため、量が多いと総額が高くなる(不用品回収業者では、トラック単位で料金を精算するのが基本)
また自治体では、不用品の搬出までは行ってくれないため、指定場所に自分で運ぶ必要があります。
引越しのついでなら引越し業者
引越しのタイミングでゴミや不用品を処分したい場合は、引越し業者がおすすめです。家具や家電を搬出するついでに不用品回収も行ってくれるため、別の業者を探す必要がなく、引越し業者だけで完結するのがメリットです。
ただし、引越し業者によっては、そもそも不用品回収に対応していないケースもあります。また不用品回収は、オプションサービスとして行っている業者が多く、別途料金がかかる点に注意しましょう。
もちろん、引越しをしない方の場合、引越し業者に不用品回収を依頼することはできません。
買い取りを依頼する場合はリサイクルショップ
不用品の中に、まだ状態が良く、販売に適したもの(有価物)がある場合は、リサイクルショップに引き取ってもらう方法もあります。
リサイクルショップとは、不用品買取業者とも呼ばれ、一般的には古物商許可を取得した事業者を指します。古物商は、中古品を売買するための資格であり、法令上は不用品(廃棄を前提としたもの)の回収ができない点に注意してください。
買い取りが期待できないゴミを処分する場合は、不用品回収業者に依頼しましょう。
今回は、ゴミをまとめて引き取って欲しいので、不用品回収業者を利用しようと思います。
不用品回収業者によっては、リサイクルショップのような買取対応も可能です。遺品整理などで、価値のある物品を大量に処分する必要がある場合も、不用品回収業者に依頼するとよいでしょう。
不用品・ゴミ回収にかかる料金相場
不用品回収業者を利用すると、料金がかかると聞きました。自治体のサービスを利用する場合と比べて、料金相場はどのくらいですか?
料金の目安は、不用品を運ぶトラックの大きさによって変わります。例えば、家具や家電を1~3個処分したい場合、軽トラック1台分の料金が必要になると考えてください。
不用品・ゴミ回収にかかる料金相場は、以下の表のとおりです。
トラックの大きさ | 料金相場 |
---|---|
軽トラック1台(目安:1~3個の家具家電) | 1万5,000円~2万5,000円 |
1tトラック1台(目安:1R/1Kの部屋の家具家電) | 2万5,000円~3万円 |
2tトラック1台(目安:1DK/1LDKの部屋の家具家電) | 3万円~4万円 |
2tトラック2台(目安:2DK/2LDKの部屋の家具家電) | 6万円~7万円 |
実際の料金は、不用品回収業者によって変わるため、見積もりを依頼して確認してください。
不用品回収業者選びで失敗すると起こるトラブル
不用品回収業者をめぐって、トラブルになるケースがあると聞きました。
実際に消費者センターには、不用品の回収を依頼したところ、思いがけない料金を請求された、という苦情が寄せられています。トラブルを防止するには、悪徳業者を見抜くことが大切です。
不用品回収業者選びに失敗すると、さまざまなトラブルに巻き込まれる可能性があります。以下の例は、東京都環境局のホームページに掲載された被害例です(※)。
- トラックに積み込んだ後に、「これは無料対象品目ではない」「型が古いのでリサイクルできない」「積込料金は別」「見積もりには入っていない品がある」などさまざまな理由を並べて高額な請求をしてくる
- 「その料金はトラック1台分ですので、今日は3台で来たので、料金は3倍です。チラシにもちゃんと1台〇円と記載してあります」と高額な請求をしてくる
- キャンセルしようと思っても、「出張料金がかかる」と料金を請求されたり、「積み込んだものは自分で全部降ろしてくれ」などと無理難題を言われることにより、キャンセルを断念せざるを得なくなる
- 引越しの予定の都合上、頼まざるを得ないと思い、納得はできないが高額料金を支払ってしまう
安易に不用品回収業者を選ぶと、思わぬ追加料金を請求されたり、高額な料金の支払いを強要されたりする恐れがあります。
※ 東京都 環境局「ご家庭から出るごみ(粗大ごみ・廃家電など)の出し方についての注意」
優良な不用品回収業者を選ぶ4つのポイント
信頼できる不用品回収業者を選ぶには、どうすればいいですか?
まずはホームページなどで、不用品回収に必要な許可を取得しているかを確認しましょう。その他、サービス内容や料金設定、実際に利用した方の口コミなども考慮することが大切です。
ここでは、優良な不用品回収業者を選ぶポイントを4つ紹介します。
一般廃棄物処理業の許可を取得しているか確認する
一般家庭から出た不用品を回収できるのは、一般廃棄物処理業の許可を持つ業者か、市区町村による委託を受けた業者のみです。
無許可営業を行っている業者は、悪徳業者の可能性が高く、回収した不用品を適正に処理せず、不法投棄する事例も報告されています。また、無許可の業者に依頼した場合、廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)によって、依頼者本人も罰則が科される可能性があります。
不用品回収を依頼する際は、まず一般廃棄物処理業の許可を取得しているかを確認しましょう。
ホームページなどで会社情報やサービス内容を確認する
また優良業者は、自社のホームページなどで、会社の情報やサービス内容をしっかりと公開しているという共通点があります。会社名や設立年度、事業内容、電話番号、本社や事業所の所在地などの基本情報が、明確に記載されていることを確認しましょう。
悪徳業者の中には、架空の住所や連絡先をホームページに掲載している場合もあります。不安な場合は、インターネットなどで会社情報を検索し、実在している業者かどうかを確認するとよいでしょう。
料金設定が明確で分かりやすく記載されているか確認する
優良業者は、明確で分かりやすい料金設定を行っているのが特徴です。ホームページなどで料金を明示していない業者や、「無料」「安い」といった聞こえの良い言葉ばかり並んでいる業者は、悪徳業者の可能性が高くなります。
特に不用品回収で多いトラブルが、後で出張料金などの追加料金の支払いを迫られるケースです。料金設定が曖昧な場合、悪徳業者がさまざまな理由を並べ立て、高額な請求をする余地を残すことにつながります。
料金設定に嘘やごまかしがなく、内訳までしっかりと記載されている不用品回収業者を選びましょう。
不用品回収に関する実績・口コミを確認する
不用品回収業者の実績や口コミを、なるべく複数の媒体で確認することも大切です。特に口コミには、実際に不用品回収を利用したユーザーの生の声が反映されているため、業者選びの判断基準の一つになります。
ただし、不用品回収業者のチラシやインターネット広告には、業者にとって都合の良い口コミのみが掲載されている可能性があります。ユーザーが自由に口コミを書き込めるGoogle マップなど、第三者が運営する口コミサイトも併用し、不用品回収業者の評判を確認するとよいでしょう。
選んではいけない不用品回収業者の5つの特徴
悪徳業者や違法業者など、選んではいけない不用品回収業者の共通点はありますか?
例えば、チラシや広告などで、不用品回収を無料で行っている、と宣伝している業者は要注意です。また地域をトラックで巡回している業者や、無断で訪問してくる業者も避けた方がよいでしょう。
ここでは、悪徳業者の可能性が高い不用品回収業者の特徴を5つ紹介します。
チラシや広告で「無料」と宣伝している
1つ目の特徴は、チラシやインターネット広告などで、不用品を「無料で回収する」「何でも回収する」と宣伝している業者です。環境省のホームページでも、「チラシを配布」「インターネットで広告」を行っている業者の中には、一般廃棄物処理業の許可のない違法業者が含まれていると注意喚起を行っています(※1)。
基本的に、一般廃棄物処理業の許可を得た業者が、廃棄物の処理を無料で行うことはありません。廃棄物の処理とは、“処理料金に相当する金品を受領して不用品を回収する行為”を意味するからです(※2)。
無料回収をうたうチラシやインターネット広告に騙されると、後で追加料金を請求され、高額請求の被害に遭う可能性があります。
※1 環境省「廃棄物の処分に「無許可」の回収業者を利用しないでください!」
※2 東京都 環境局 「ダメ!違法な不用品回収 行わない!利用しない!」p1
地域をトラックで巡回している
2つ目の特徴は、地域をトラックで巡回し、「ご家庭のゴミ、何でも回収します」といった宣伝を行っている業者です。
不用品回収業者が町中で大音量を流し、巡回している光景を見慣れた方もいるかもしれません。しかし、環境省のホームページでも注意喚起が行われているとおり、こうした業者は一般廃棄物処理業の許可を取得していない無許可営業の可能性があります(※)。
実際に、トラックに「無料」で不用品を積み込んだ後、追加料金を請求される事例も報告されています。町中で不用品回収業者を見かけても、利用しないようにしましょう。
※ 環境省「廃棄物の処分に「無許可」の回収業者を利用しないでください!」
アポなしで突然訪問してくる
3つ目の特徴は、事前のアポイントメントもなく、突然訪問してくる業者です。
自宅に突然押しかけてくるような業者は、ほとんどが悪徳業者です。優良業者は、このような訪問営業を行いません。事前に見積もりや査定を行ってから、不用品を回収することが一般的です。
過去には、悪徳業者が不用品回収の名目で家に押し入り、不用品だけでなく金品まで持ち出した事例も報告されています。特に引越しが多いシーズンは、こうした業者の目撃数が増えるため、「家に入れない」「相手に付け込まれない」ように注意しましょう。
会社の住所や電話番号が確認できない
4つ目の特徴は、会社の住所や電話番号が確認できないような業者です。この点は、一般廃棄物処理業の許可を取得していない業者によく見られる特徴の一つでもあります。
こうした業者とトラブルになった場合、所在地や連絡先が分からないため、泣き寝入りせざるを得ません。会社の情報が非公開の場合は、不用品回収を依頼しないようにしましょう。
また、必ずしも悪徳業者とは限りませんが、利用者向けのホームページがなく、会社情報を確認する手段のない業者も避けた方が無難です。
「今なら料金が安くなる」と契約を急かしてくる
5つ目の特徴は、魅力的な言葉を並べて、契約を急かしてくる業者です。
悪徳業者は、不用品を処理できないと困る、という消費者の心理に付け込んで、さまざまな手口で近づいてきます。例えば、「今契約すれば、不用品回収が無料になる」「通常は1台〇円のところ、今だけ△円になる」といった強引な広告宣伝を行っている業者には注意しましょう。
なるほど、こういった不用品回収業者は注意が必要なんですね。
悪徳業者による高額請求の手口は、年々巧妙化しているとも言われています。お住まいの地域の環境課(環境整備課)が、個別に注意喚起を行っている場合もあるため、自治体のホームページも確認しておくとよいでしょう。
不用品回収の見積もりを取る際の3つのポイント
不用品回収に都合の良い日ができたので、見積もりを依頼してみようと思います。何か注意点はありますか?
見積金額が相場からかけ離れていないか、地域ごとの料金の目安を確認しておくと安心です。また複数の業者に見積もりを依頼すると、査定結果を比較できます。
ここでは、不用品回収の見積もりを取る際のポイントを3つ紹介します。
地域の不用品回収の料金相場を確認する
不用品回収の料金相場は、市区町村によって異なります。まずは地域の料金相場を確認し、見積内容と比較しましょう。相場とかけ離れた見積もりを提示している業者は要注意です。
不用品回収の料金相場を確認するなら、不用品回収比較サイトがおすすめです。不用品の量や、建物の種類(戸建てか、賃貸住宅かなど)、エレベーターや駐車場の有無などの条件を絞り込んで、地域ごとの相場を確認できます。
複数の業者に見積もりを依頼する
また見積もりは、なるべく複数の業者に依頼すること(相見積もり)が大切です。見積内容を同時に比較し、条件に合った業者を選べます。また相見積もりによって、業者間で競争意識が働き、通常よりも安い料金を提示してもらえる可能性もあります。
電話や問い合わせフォームなどを通じて、一つひとつ見積もりを依頼すると手間がかかるため、不用品回収の一括見積もりサイトを利用するとよいでしょう。
料金の総額だけでなく内訳を確認する
見積内容を確認するときは、料金の総額だけでなく、内訳を確認することも大切です。
不用品回収の料金には、不用品を運び出すスタッフの人件費や、運搬用の車両費(運搬費)、廃棄するための処分費などの項目があります。家具の解体費用やゴミの分別費用など、オプション料金が加算される場合もあるため、料金の内訳を細かく確認してみましょう。
不用品やゴミの処分では、信頼できる業者を選ぶことが大切だと分かりました。見積内容をしっかりと検討する意味でも、複数の業者を比較し、自分に合ったサービスを探してみようと思います。
そうですね。最初に見つけた業者や、チラシや広告が入っていた業者に即決せず、いくつかの候補の中から、じっくりと比較検討していく姿勢が大切です。
不用品やゴミの回収を依頼するなら、信頼できる業者を選ぼう
不用品やゴミを捨てる場合、不用品回収業者や自治体、引越し業者、リサイクルショップなどの選択肢があります。複数の業者のホームページや見積内容を比較検討して、信頼できる業者を選びましょう。
日本大学文理学部卒。後に、不用品回収専門メディア「不用品回収の窓口」に参画。信頼関係を第一に考え、多くの不用品回収業者の業務改善に注力する。同時に、環境省が主催する「使用済製品等のリユース促進事業研究会」へ定期的に参加し、不用品回収業者と協力して不用品回収やゴミ問題解決に取り組んでいる。不用品に関する多様な記事の執筆・監修も積極的に担当。