日本大学文理学部卒。後に、不用品回収専門メディア「不用品回収の窓口」に参画。信頼関係を第一に考え、多くの不用品回収業者の業務改善に注力する。同時に、環境省が主催する「使用済製品等のリユース促進事業研究会」へ定期的に参加し、不用品回収業者と協力して不用品回収やゴミ問題解決に取り組んでいる。不用品に関する多様な記事の執筆・監修も積極的に担当。
このページの内容
仏壇を正しく処分する5つの方法
仏壇は処分できるんですか?そのまま粗大ごみとして出すには抵抗があります。
仏壇は宗教的なもので、普通の家具と違って思い入れが強いのが特徴です。よって処分に困る方が多いんです。しかし仏壇は宿っている魂を抜く供養を行えば、ただの箱となり、そのまま普通の家具のように処分できます。適切な処理方法についてしっかり把握しておきましょう。
仏壇を処分する際は、まず宿った魂を抜く閉眼供養(へいがんくよう)を行います。ちなみに閉眼供養は魂抜き・お性根抜き・御霊抜きとも呼ばれます。
この供養が終われば、仏壇に宿った魂は仏壇から抜け、普通の家具と何ら変わらない状態になるのです。よって供養後の処分方法は普通の家具と同じ。
供養後の仏壇処分方法は以下の5種類です。
- 菩提寺に依頼する(閉眼供養と同時に依頼可能)
- 仏壇・仏具店に依頼する
- 仏具専門の処分業者や引っ越し業者を利用する
- 自治体の粗大ごみ回収を利用する
- 不用品回収業者を利用する
1.菩提寺に依頼する
菩提寺(ぼだいじ)とは、先祖の墓がある寺のことを指します。つまり先祖代々お世話になってきた寺のこと。仏具や仏壇の処分は、菩提寺があれば閉眼供養と一緒に処分をお願いするのがよいでしょう。
菩提寺に預けられた仏壇は閉眼供養が行われたあと、焚き上げ処分されます。長年に渡ってお世話になった信頼関係があるので、安心して任せられるのもメリットです。
2.仏壇・仏具販売店に依頼する
仏壇を購入した店舗に限らず、仏壇や仏具を預かっている店舗では、処分を代行している場合もあります。仏壇購入時に安価で代行している店舗が多いので、処分だけでなく買い替えを考えている方におすすめ。
こちらも仏壇の扱いに慣れているプロに任せられるので、安心して処分を依頼できます。また対応の素早さもメリットです。
供養に関しては処分と一緒に行ってくれるところと、供養した仏壇のみを引き受けているところがあるので、事前に調べておきましょう。
3.仏壇・仏具の処分業者や引っ越し業者を利用する
仏壇専門には専門の引っ越し業者や処分業者があるので、そういった専門の業者を利用するのもひとつの手です。
通常の家具より丁重に扱う必要がある仏壇を専門で取り扱っているので、仕事も丁寧で信頼できます。メリットは菩提寺や仏壇・仏具店よりも、費用を大幅に削減できる点。
自宅回収も行っている業者であれば、より手軽に処分できるのもポイントです。
4.自治体の粗大ごみ回収を利用する
閉眼供養後の仏壇は、自治体が回収する粗大ごみとして処分できます。出し方や処分できる日程は自治体ごとに異なりますが、サイズの大きい仏壇は指定引取所に直接運び入れなければなりません。ただし自分で運搬できない場合は、有料の回収サービスも利用できます。
処分が完了するまで時間がかかるので、引っ越しや買い替えなどの事情によってすぐ処分したい方には向いていません。
5.不用品回収業者を利用する
普通の家具を回収している不用品回収業者でも、仏壇の処分を依頼できます。こちらも粗大ごみ同様、事前に閉眼供養を行っておきましょう。閉眼供養が無事終了したら、不用品回収業者に依頼すれば、最短数日で処分が完了します。
処分までのスピーディーさと、回収によって重い仏壇を運ぶ手間を省けるのがメリット。引っ越しで即日処分しなければならない方や、運搬が困難な大きい仏壇をお持ちの方におすすめです。
仏壇の処分に困っていたのですが、供養ができれば普通の家具と同じように処分できるんですね。
宗教的な考えなので少し難しいのですが、閉眼供養のないまま仏壇を処分すると、宿っている魂も一緒に処分することになります。供養作業を挟むため、気持ちの切り替えができる利点も。罪悪感なく処分するためにも、閉眼供養はしっかり行いましょう。
仏壇の処分にかかる費用相場
5つの処分方法がありますが、それぞれどのくらいの費用がかかりますか?
仏壇のサイズによって変わりますが、比較的処分費用が安い粗大ごみや不用品回収業者に依頼する場合は、別途供養費用がかかるので思ったよりも高くなる可能性があります。
仏壇の処分にかかる費用相場は以下の通りです。
- 菩提寺に依頼:10,000円~50,000円
- 仏具・仏壇店に依頼:10,000円~30,000円
- 仏壇専門の処理業者に依頼する:7,000円~80,000円
- 自治体の粗大ごみに出す:400円~3,000円+閉眼供養代(30,000円~100,000円)
- 不用品回収業者に依頼する:2,000円~20,000円+閉眼供養代
自治体や不用品回収業者で処分する場合、処分費用自体は安価ですが、閉眼供養代を別で用意しなければなりません。その点仏壇を専門に扱う業者の多くは、供養代も含まれた価格で、用意する金額が事前に決まっているのがポイント。
また菩提寺では決まった料金はなく、「お布施」という形で任意の金額を支払います。菩提寺の規模や関係性によっても異なりますが、50,000円程度が一般的だそうです。
なるほど。自治体や不用品回収を利用する際は、自分で閉眼供養を行わなければならないんですね。
実は閉眼供養は宗教ごとに方法が異なります。そのため仏具店に依頼すると、自分の宗教とは違った方法で閉眼供養が行われる場合があるので、閉眼供養にこだわりがある方にも、自分で閉眼供養を行った後に業者に処分を任せる方法がおすすめです。
仏壇を処分するタイミングとは?
皆さんは、仏壇をどんなタイミングで処分するんですか?
多くの方が生活スタイルの変化に伴って処分されています。特にサイズの大きな仏壇は、引っ越し先に置けない場合が多く、仕方なく処分されるようです。また仏壇を買い替える際に、古い仏壇を処分される方もいらっしゃいます。
仏壇を処分するタイミングで最も多いのは、生活スタイルの変化によるものです。今住んでいる部屋よりも狭い部屋に引っ越す場合、仏壇を継ぐ方がいない場合、引っ越しに伴ってサイズの小さな仏壇に買い替える場合などが該当します。
もちろん大切に扱う仏壇でも、代々継いできたものは経年劣化で金箔の剥がれや扉の破損が発生します。また大きなひっかき傷や、焦げ跡、災害による仏壇の倒壊なども買い替えのタイミングです。
小さな破損であれば部分修理もできますが、劣化が伴っている場合、あまりにも大きな傷がついている場合は買い替えがおすすめです。
生活環境の変化でやむを得ず、という方が多いんですね
そうなんです。仏壇を継ぐ方がいない場合は、最終的にぞんざいに扱われてしまう可能性があるので、処分できるうちにしておいた方がよいでしょう。仏壇の処分は後ろめたさを感じるかもしれませんが、閉眼供養をしっかり行えば問題ありません。
仏壇を処分する際に注意すべきこと
仏壇を処分する際に気をつけておきたいことはありますか?
粗末に扱わず、最後まで丁重に扱いましょう。ここまで何回か紹介しましたが、仏壇を処分する前には、必ず閉眼供養を行いましょう。もし仏壇を買い替える際は、新しく購入した仏壇に魂を宿らせる、開眼供養も必要です。
仏壇を処分する際に1番注意すべきなのは、閉眼供養前に捨ててしまうことです。閉眼供養を行う前は、仏壇に魂が宿ったままの状態。そのまま捨ててしまうと、魂も一緒に廃棄することになるのです。
そのため処分する前には必ず閉眼供養を依頼してください。お布施費用を削減するために、自分で閉眼供養するのはあまりおすすめできません。
自分の宗教にあった閉眼供養を行なっている寺院にしっかり依頼しましょう。お布施について悩みがある方は、直接聞いてみるのもよいでしょう。
仏壇はリサイクルできる?
今より狭い住居に引っ越すので大きい仏壇を処分するのですが、仏壇はリサイクルできますか?状態が良いので勿体なく感じます。
できないことはありませんが、中古の仏壇にはあまり需要がありません。あるとしても、装飾部分や部品の再利用がほとんどです。ただし高価な素材や、精密な装飾が施されているものは、そのまま再利用される可能性があります。
仏壇のリサイクル方法は次の通りです。
- 仏壇・仏具店に売却
- リサイクルショップに持ち込む
- オークションサイトなどを利用して個人間で売買する
それぞれの方法について、仏壇の再利用性や詳細を詳しくご紹介します。
1.仏壇・仏具店に売却
仏壇や仏具店に売却された仏壇は、基本的にそのまま再利用されます。解体せずに売りに出されるので、状態のよい仏壇や、高価な木材や装飾が施されている仏壇に需要があります。
そのため比較的安価だったり、状態が悪い仏壇は買取を断わられる場合も。その際は部品のみを再利用することが多い、リサイクルショップへの持ち込みを検討してみてください。
仏壇の価格目安としては、国内の職人が丁寧に手作りする「製造工程」のほか、黒檀(こくたん)、紫檀(したん)、ヒノキ、ケヤキなど使われている木材の種類によっても価格が大きく変動します。
値段も数万円~1,000万円以上と幅広いのが仏壇の特徴。質の良い仏壇は年月が経っても状態が保たれるので、高級仏壇をお持ちの方は廃棄前に、再利用も検討してみてください。
2.リサイクルショップに持ち込む
リサイクルショップは仏壇販売の専門店ではないので、比較的安価な仏壇を売却するのに向いています。
状態がかなり良い場合はそのまま売却されるかもしれませんが、痛んでいる場合は解体して装飾部分が再利用されたり、部品のみの販売されたり、部分的に再利用されます。
買取価格は仏壇・仏具店に売却するよりも安く、仏壇を持ち込む手間を考えると効率的とはあまりいえません。また運搬の際に傷つけてしまい、買取価格が大幅に低下することもあるので、運搬時には細心の注意を払う必要があります。
3.オークションサイトなどを利用して個人間で売買する
店舗に持ち込む手間を省きたい方は、インターネットのオークションサイトやフリマサイトを利用して、個人取引を行うのも良いでしょう。
ただし個人取引はトラブルが発生する可能性があり、閉眼供養がしっかり行われているか、梱包は丁寧に施されているかなどは、しっかり証拠写真や文書を残す必要があります。
また仏壇はサイズも重量もあるので、運送費用が売却費を上回るかもしれません。そもそも中古の仏壇にはあまり需要がないので、信用の薄い個人取引では買い手がなかなか付かないデメリットもあります。
中古の仏壇はあまり聞きませんが、高価なモノなら再利用してもらえるんですね。
高価な仏壇は素材も工程も手間がかかるので、市場でもあまり出回らない貴重なものが多いんです。そのため高価な仏壇には一定の需要が集まる傾向があるのです。
仏壇の処分は閉眼供養してから不用品回収業者に任せるのがおすすめ!手軽に正しく仏壇を処分しよう
仏壇の処分方法のなかでおすすめなのが、自分で閉眼供養を行った後に不用品回収業者に依頼する方法です。仏壇は重量があり、自分で移動・運搬させるにはかなりの手間を要します。
粗大ごみとして出す場合は指定引取所に持ち込むか、指定された場所まで運ばなければならないので、運ぶ手段がない方には不向き。一方、不用品回収業者は回収作業もサービスに含まれるので、簡単に処分が完了します。諸事情により数日で処分しなければならない方にもおすすめです。
ただし不用品回収業者は、適切な業務内容と処理を行っている「一般廃棄物処理業」の許可を取得している業者を選びましょう。違法業者に依頼すると、不法投棄や違法売買に間接的に加担することになったり、高額な処分料金を請求されたりする可能性があります。
不用品回収の窓口では、全国の優良な不用品回収業者を最大5社まで一括して比較できます。業者によって価格が大きく異なるので、仏壇の処分を検討している方は、ぜひ不用品回収の窓口をご利用ください。
日本大学文理学部卒。後に、不用品回収専門メディア「不用品回収の窓口」に参画。信頼関係を第一に考え、多くの不用品回収業者の業務改善に注力する。同時に、環境省が主催する「使用済製品等のリユース促進事業研究会」へ定期的に参加し、不用品回収業者と協力して不用品回収やゴミ問題解決に取り組んでいる。不用品に関する多様な記事の執筆・監修も積極的に担当。