エアコンが古くなったので買い替えたいのですが、古いエアコンは粗大ゴミとして処分できますか?
エアコンは家電リサイクル法の対象品目ですので、粗大ゴミとして処分することはできません。法律に則って、適切な方法で処分しましょう
真夏日や猛暑日を観測するのが当たり前になってきた現代において、エアコンはなくてはならない必需品となりつつあります。
ただ、エアコンは古くなってくると効きが悪くなるので、経年劣化が気になってきたら早めに新しいものに買い替えなければなりません。
その際、古いエアコンは処分しなければなりませんが、ベッドやタンスなどの家具とは異なり、エアコンは法律に則って処分する必要があります。
そこで今回は、不用品回収のプロが、エアコンの正しい処分方法や、リサイクルにかかる料金、室外機を処分する際に注意したいポイントについてくわしく解説します。
日本大学文理学部卒。後に、不用品回収専門メディア「不用品回収の窓口」に参画。信頼関係を第一に考え、多くの不用品回収業者の業務改善に注力する。同時に、環境省が主催する「使用済製品等のリユース促進事業研究会」へ定期的に参加し、不用品回収業者と協力して不用品回収やゴミ問題解決に取り組んでいる。不用品に関する多様な記事の執筆・監修も積極的に担当。
このページの内容
エアコン処分はリサイクル法の対象
エアコンは家電リサイクル法の対象ということですが、そもそも家電リサイクル法ってなんですか?
家電リサイクル法とは、エアコン・テレビ・冷蔵庫(冷凍庫)・洗濯機(衣類乾燥機)の4品目から有用な部品・材料をリサイクルするために設けられた法律のことです。これら4品目は家電リサイクル法に則って処分することが義務づけられています
古くなって効きが悪い、または壊れてしまったエアコンでも、内部で使われている部品や材料の中には再利用可能なものが多く存在します。
国では、まだまだ使える有用な部品や材料をリサイクルすることで、廃棄物を減量するとともに、限りある資源を有効利用を推進しています。
家電リサイクル法が本格施行された2001年4月1日以降は、エアコンを含む4品目は特定家庭用機器として指定され、小売業者(家電量販店等)には排出者(消費者)からの引き取りと製造業者等への引き渡しを、製造業者等には対象品目の引き取りとリサイクルを、それぞれ義務化しています。[注1]
一方の消費者は、小売業者や製造業者等からの求めに応じてリサイクル料金を支払うことが義務づけられています。
なるほど。消費者はエアコンを処分するとき、必ずリサイクル料金を支払わなければいけないんですね
エアコンのリサイクル料金はメーカーによって異なりますので、事前に確認が必要です。リサイクル料金について、くわしくは後ほど説明します
エアコン処分にかかるリサイクル料金
エアコンのリサイクル料金はメーカーによって違うとのことですが、具体的にどのくらいかかるんですか?
エアコンのリサイクル料金は、家電製品協会のホームページなどで確認できます。なお、エアコンの処分方法によっては、別途運搬料や手数料などが必要になることもあります
エアコンを処分するのにかかる費用は、大きく分けて3つあります。
- エアコンの運搬料
- リサイクル料
- その他の費用
以下ではそれぞれの費用について、くわしく解説します。
1.エアコンの運搬料
家電リサイクル法の対象品目となるエアコンは、メーカーが自社製品を引き取るために設けた「指定引取所」に運搬された後、再商品化等施設でリサイクルされる仕組みになっています。
そのため、エアコンの処分を小売業者や自治体、不用品回収業者などに依頼した場合、指定引取所までの運搬料を委託先に支払う必要があります。
指定引取所までの運搬料は小売業者、自治体、不用品回収業者によって異なるので一概にはいえませんが、おおむね1,000円~4,000円程度が相場のようです。
小売業者の場合、その店で新しいエアコンを購入し、買い替えという形で古いエアコンの処分を依頼した場合、通常よりも運搬料が安くなる傾向にあります。
なお、エアコンの処分方法の中には、運搬料が必要ないものもあります。
エアコンの処分方法について、くわしくは後述しますので、そちらを参考にしてください。
2.リサイクル料金
エアコンは家電リサイクル法の対象品目ですので、処分する際はリサイクル料金が発生します。
リサイクル料金は、回収した自社製品(特定家庭用機器)の再商品化を行う製造業者が自由に設定できるものなので、メーカーによって金額に違いがあります。
メーカーはリサイクル料金をあらかじめ公表することが法律で義務づけられており、2021年4月1日時点では、1台につき990円、2,000円、9,900円の3パターン(いずれも税込)に区分されています。[注2]
メーカーごとのエアコンのリサイクル料金は一般財団法人 家電製品協会のホームページに掲載されていますので、事前にチェックしておきましょう。
[注2]一般財団法人 家電製品協会:リサイクル料金一覧表[pdf]
3.その他の費用
エアコンの処分方法によっては、運搬料金やリサイクル料金とは別に、その他の諸費用がかかる場合があります。
たとえば、ネットオークションやフリマアプリを使って個人間売買を行った場合、運搬料金やリサイクル料金はかかりませんが、代わりに運営会社に支払う販売手数料や、商品を取引相手に送る配送料を負担しなければなりません。
販売手数料は運営会社によって異なりますが、おおむね取引価格×5~10%が相場となっています。
仮に古いエアコンが5,000円で売れた場合、販売手数料は500円~1,000円程度です。
配送料はエアコンのサイズや重量、送り先までの距離などによって異なりますが、同県内でも1万円~の送料がかかります。
配送料を購入者負担にすることも可能ですが、その場合は買い手がつきにくくなることに注意が必要です。
なるほど、エアコン処分にかかる費用は、運搬料+リサイクル料金+その他費用の合計額になるわけですね
はい。エアコンの処分費用を節約したいのなら、いくつかのパターンでコストを計算して、比較してみるとよいでしょう
エアコンの正しい処分方法4選
エアコンは粗大ゴミに出せないということですが、具体的にどんな方法で処分すればいいんですか?
エアコンの処分方法は大きく分けて4つあります。それぞれ特徴やコストが異なりますので、より自分に合った方法を選択しましょう
ここでは、古くなったエアコンの正しい処分方法を4つのポイントにわけて解説します。
1.小売業者(家電量販店や電器店等)に回収してもらう
家電量販店や電器店などの小売業者は、家電リサイクル法により、使用済みのエアコンの引き取りおよび製造業者への引き渡しが義務づけられています。
小売業者にエアコンの処分を依頼するパターンは3通りあり、まず1つ目は新しいエアコンを購入するお店に引き取りを委託するケースです。
この場合、必ずしも古いエアコンの購入店である必要はなく、他店で購入したエアコンでも回収に応じてもらえます。
流れとしては、小売業者で新しいエアコンを注文し、指定の日時に自宅へ配送・取付を行ってもらった後、古いエアコンを回収してもらいます。
新しいエアコンの設置と同時に古いエアコンを回収してもらえるので、手間がかからず一石二鳥です。
2つ目は、新しいエアコンは購入せず、古いエアコンだけを小売業者に回収してもらうケースです。
この方法はさらに「出張回収を依頼する」パターンと、「店舗に古いエアコンを持ち込む」パターンの2通りに分かれており、前者は業者が自宅に訪問し、エアコンの取り外し&回収を行います。
素人では難しいエアコンの取り外しを代行してもらえるところが利点ですが、新しいエアコンの配送をともなわないぶん、別途出張費が発生します。
一方、自ら古いエアコンを店舗に持ち込む場合は、出張費を節約することができますが、エアコンの取り外しにはそれなりの知識と専用の工具が必要になります。
また、重いエアコンを搬送するための移動手段も必要になりますので、手間と時間を考えれば、出張費を支払って回収してもらった方がお手軽でしょう。
なお、古いエアコンの引き取りのみ依頼する場合、委託先は基本的にそのエアコンを購入したお店のみとなります。
引っ越し等で購入店舗が遠方になってしまった、頂き物で購入店がわからない…といった事情がある場合は、他の方法での処分を検討しましょう。
2.自治体の回収サービスを利用する
自治体によっては、家電リサイクル法の対象品目を回収するサービスを行っています。
市区町村役場に相談すると、くわしい処分の仕方を教えてくれますので、担当の課に問い合わせてみましょう。
なお、自治体が回収サービスを行っていない場合は、提携業者の案内を受けられますので、新しいエアコンを購入する予定がないor購入店舗がわからない・遠いなどの事情がある人は、一度自治体に相談してみることをおすすめします。
3.指定引取所に持ち込む
製造業者が指定した「指定引取所」に直接古いエアコンを持ち込む方法です。
小売業者や自治体が回収したエアコンは指定引取所に搬送されますので、自ら持ち込めば搬送料を節約することができます。
ただ、指定引取所に持ち込むには、自分で古いエアコンを取り外し、現地まで搬送しなければなりません。
前述の通り、エアコンの取り外しは簡単に行えるものではありませんし、エアコンはサイズ・重量ともに大きいので、指定引取所に持ち込むためには自動車が必要不可欠です。
エアコンを取り外した経験があり、かつ適切な移動手段がある場合は別ですが、そうでなければ他の方法で処分した方が簡単&安全でしょう。
4.不用品回収業者に依頼する
「引っ越すので古いエアコンだけ処分したい」「購入店がわからない」「手間をかけずにエアコンを処分したい」という人は、不用品回収業者に依頼するのがおすすめです。
引き取りにあたって、エアコンのメーカーや機種は問いませんし、エアコンの取り外しから搬出、トラックへの積み込みまですべてお任せできるので、手間も時間もかかりません。
業者によっては即日引き取りに対応しているところもあり、急ぎでエアコンを処分したいというニーズも満たせます。
また、エアコンを回収する日時もスケジュールの都合に合わせて設定できるので、忙しくて家電量販店に行くひまがないという人にも適しています。
エアコンはリサイクルショップやネットオークション、フリマアプリで売ることはできないんですか?
不可能ではありませんが、エアコンはテレビや冷蔵庫、洗濯機などとは異なり、取付工事が必要になります。リサイクルショップや個人間売買では、エアコンの取付まで対応していないため、買い手は別途自分で取付工事を手配しなければなりません。そのせいか、リサイクルショップや個人間売買ではエアコンの取り扱いは少なく、処分方法としてはあまり現実的ではないでしょう
エアコン室外機の処分で注意すること
エアコンの室内機と室外機はまとめて処分するのですか?
はい、セットで処分するのが基本です。どちらか一方のみ処分する場合でも、リサイクル料金に変化はないので、あらかじめ注意が必要です
エアコンは基本的に室内機と室外機がセット販売されていますので、室内機だけ、あるいは室外機だけ交換することはほとんどありません。
仮に室内機または室外機のみ処分する場合でも、リサイクル料金は室内機+室外機の料金と同じです。
「新品のエアコンを買ったばかりなのに、台風の影響で室外機だけ壊れてしまった」といった特別な事情でもない限り、室内機と室外機はまとめて処分した方がよいでしょう。
同じメーカーのエアコンでも、機種や型式が異なると室内機と室外機の互換性がなく、正常に動作しないことがあります。よほどのことがない限り、室内機と室外機をバラバラに処分・購入するのはやめた方がよいでしょう
エアコンは家電リサイクル法に則って適切な方法で処分しよう
エアコンは家電リサイクル法の対象品目ですので、所定のリサイクル料金を支払って処分する必要があります。
処分方法には、家電量販店や自治体への回収依頼、指定引取所への持ち込みなど、いろいろなパターンがありますが、なるべく手間と時間をかけずに処分したいのなら、不用品回収業者への依頼がおすすめです。
素人では難しいエアコンの取り外し・搬出・車両への積み込みをすべて委託できるのはもちろん、車両の積載量を超えない範囲なら、エアコン以外の不用品の回収も行ってくれます。
引っ越し等で不用品をまとめて処分したいと考えているのなら、不用品回収業者の利用を検討してみましょう。
よりお得にエアコンを処分したいのなら、複数の業者にまとめて見積もりを請求できる「不用品回収の窓口」をご利用ください。
1回の利用で最大5社から見積もりを取れるので、内容を比較したうえで業者を選べば、処分費用を節約できます。
不用品回収の窓口は無料で利用できますので、エアコンの処分を検討されているのなら一度試してみてはいかがでしょうか。
日本大学文理学部卒。後に、不用品回収専門メディア「不用品回収の窓口」に参画。信頼関係を第一に考え、多くの不用品回収業者の業務改善に注力する。同時に、環境省が主催する「使用済製品等のリユース促進事業研究会」へ定期的に参加し、不用品回収業者と協力して不用品回収やゴミ問題解決に取り組んでいる。不用品に関する多様な記事の執筆・監修も積極的に担当。