引越しのタイミングで、家具や家電製品を捨てることになりました。しかし、量が多いため処分に困っています。
自力で片付けるのが難しい場合は、専門業者に依頼することも可能です。業者選びの注意点や、費用を安くおさえるポイントを知っておきましょう。
ご家族にある家具、家電製品、自動車、衣服、宝石や貴金属などの財産(一般動産)を、まとめて「家財道具」と呼びます。引越しや大掃除、遺品整理などで、一度に大量の家財道具を処分しなければならない方もいるでしょう。
この記事では、不用品回収のプロが、家財道具の主な処分方法や、処分にかかる費用相場、できるだけ費用を安くするポイントについて解説します。
日本大学文理学部卒。後に、不用品回収専門メディア「不用品回収の窓口」に参画。信頼関係を第一に考え、多くの不用品回収業者の業務改善に注力する。同時に、環境省が主催する「使用済製品等のリユース促進事業研究会」へ定期的に参加し、不用品回収業者と協力して不用品回収やゴミ問題解決に取り組んでいる。不用品に関する多様な記事の執筆・監修も積極的に担当。
このページの内容
不要になった家財道具を処分する6つの方法
不要になった家財道具は、どのような方法で処分すればよいですか?
お住まいの自治体に収集を申し込む方法から、不用品回収業者などの業者に依頼する方法まで、さまざまな選択肢があります。それぞれメリット・デメリットがあるため、自分に合った処分方法を選びましょう。
ここでは、不要になった家財道具を処分する6つの方法を紹介します。
処分費用をおさえたい場合は自治体に収集を申し込む
家財道具の処分を専門業者に依頼する場合、回収する不用品の量や、作業するスタッフの人数に応じた費用がかかります。少しでも処分費用をおさえたい場合は、お住まいの自治体に収集を依頼するとよいでしょう。
ほとんどの自治体では、一般家庭から出る粗大ゴミや廃家電の戸別収集を行っています。例えば、家具や家電製品を粗大ゴミとして処分する場合、市区町村の粗大ゴミシール券を購入し、電話やインターネットで申し込むことで、指定した場所まで収集に来てもらえます。
他の方法と比べて、処分費用の負担が少ないのがメリットです。一方、一度に回収できる点数が限られる自治体が多いため、大量の家財道具を処分したい場合は向いていません。
家財道具の量が多い場合は不用品回収業者に相談する
引越しや大掃除、実家じまいなどにより、一度に大量の家財道具を処分しなければならなくなった場合は、不用品回収業者に相談しましょう。
不用品回収業者なら、一軒家丸ごと、ワンルームマンション丸ごとでの家財道具の処分も可能です。家財道具の量が多く、自治体の戸別収集で対応できない場合は、不用品回収業者の利用をおすすめします。
ただし、不用品回収業者の中には、高額な追加料金を請求してくる悪徳業者も存在するため注意が必要です。
悪徳業者を見抜く方法はありますか?
後の項目で詳しく説明しますが、料金体系が明確か、必要な許可を取得しているか、といった点を確認するとよいでしょう。市区町村と提携している業者も存在するため、自治体のホームページの案内なども参考にしてください。
引越しのついでに処分したい場合は引越し業者に依頼する
引越しのついでに家財道具を処分したい場合は、引越し業者を慎重に選びましょう。
引越し業者によっては、不要な家財道具の引取サービスを提供しています。新居への引越しと家財道具の処分をワンストップで依頼できるのがメリットです。
ただし、引取サービスを提供している引越し業者は限られる他、引越し費用に加えて別途料金がかかるケースが一般的です。引取サービスの料金も、不用品回収を専門としている業者に比べると、割高になる傾向にあります。
ご家族が亡くなった場合は遺品整理業者に依頼する
ご家族が亡くなり、遺品の片付けを行う場合は、遺品整理業者に依頼するとよいでしょう。遺品整理業者なら、遺品の仕分けから、形見分けの品の梱包・配送、故人の愛用品の供養まで、遺品整理に関するさまざまな問題を解決してくれます。
特に、遺品の合同供養や訪問供養、読経・お焚き上げなどは、遺品整理業者ならではのサービスです。ただし、遺品の量が多い場合は、供養に別途料金がかかる場合もあります。
また、遺品整理以外の目的で、遺品整理業者を利用することは原則できません。例えば、引越しや実家じまいに伴う家財道具の処分なら、引越し業者や不用品回収業者に相談するとよいでしょう。
高価買取が期待できる場合はリサイクルショップや買取業者に売却する
家財道具の中に比較的新しく、まだ十分に使えるものがある場合は、リサイクルショップや買取業者に中古品として売却しましょう。買取金額がついた場合は、他の家財道具の処分費用に充てられます。
特に、家電リサイクル対象品(テレビ、エアコン、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機)は、買取サービスの利用がおすすめです。
家電リサイクル対象品を処分する場合、リサイクル料金や収集運搬料金が発生します。一方、家電リサイクル対象品を買取に出せば、逆に売却代金を得ることが可能です。
ただし、状態が悪く、再利用(リユース)に適さない商品は、買取の対象にはなりません。
なるほど。高く売れそうなものは、リサイクルショップや買取業者に持ち込むとよいのですね。
不用品回収業者の中にも、家財道具の買取を行っている業者が存在します。買取金額がつくか自信がない場合は、不用品回収業者を利用するとよいでしょう。
処分を急がない場合はネットオークションやフリマアプリを利用する
家財道具の処分を急いでいない方や、自分のペースで不用品を片付けたい方の場合は、ネットオークションやフリマアプリを利用するという選択肢もあります。
自分で商品を出品し、買い手を探す手間はかかるものの、手軽に不用品を売却できるのがメリットです。
ただし、大型家電など、サイズが大きい商品の場合、高額な送料がかかる可能性があります。またネットオークションやフリマアプリでは、インターネットを通じて顔の見えない相手とやりとりをするため、トラブルに巻き込まれやすいのもデメリットです。
家財道具の処分を自力ですべきか業者に依頼すべきかを徹底比較
不要になった家財道具の処分は、大きく分けると、自力で行う方法と業者に依頼する方法の2種類があるのですね。
自治体の戸別収集や、ネットオークション・フリマアプリなどの手段を駆使して、自分一人の力で家財道具を処分する方もいます。家財道具の量がどのくらいか、期限までにどのくらいの時間があるか、といった点を判断基準にするとよいでしょう。
ここでは、家財道具を自力で処分すべきか業者に依頼すべきかについて、それぞれのメリット・デメリットを比較します。
自力で処分する場合は費用をおさえられるものの時間や労力がかかる
家財道具を自力で処分する場合のメリット・デメリットは、以下の表のとおりです。
メリット | 自治体の戸別収集なら、業者に依頼するよりも安く家財道具を処分できるネットオークションやフリマアプリを利用すれば、売却代金を得られる |
デメリット | 一度に処分できる家財道具の量が限られる大きな荷物を自分で運び出す必要がある商品の買い手が見つかるまで時間がかかる |
処分する家財道具の量が多い場合や、できるだけ早く家財道具を処分したい場合(急な引越しや転勤など)、自力で何とかしようとするのはおすすめできません。処分費用はかかるものの、不用品回収業者などの業者に依頼するとよいでしょう。
業者に依頼する場合は料金と引き換えに家財道具をまとめて処分できる
家財道具の処分を業者に依頼する場合のメリット・デメリットは、以下の表のとおりです。
メリット | 家財道具の量が多くても、最短即日でまとめて処分できる出張買取や宅配買取などの手段で、手軽に不用品を売却できる大きな荷物の搬出など、力が必要な作業も任せられる |
デメリット | 自治体の戸別収集よりも料金が高くなる悪徳業者に騙されないように注意する必要がある |
捨てたい家具や家電製品がたくさんあるため、今回は不用品回収業者に相談してみようと思います。
家財道具の処分にかかる費用は、大まかな相場が決まっています。不用品回収業者を探す際に、ぜひ参考にしてください。
家財道具の処分費用は一軒家丸ごとなら50万円程度までが相場
不要になった家財道具は、まとめて処分を依頼するほどお得になるんですよね。
はい。不用品回収サービスには、いわゆる「積み放題」「定額パック」と呼ばれるプランがあります。トラックの大きさや台数ごとに料金が決まっているため、大量の不用品をお得に処分できます。
家財道具の処分を不用品回収業者に依頼する場合、品目ごとに処分費用を支払うプランか、トラックいっぱいの不用品を定額料金で処分できるプラン(積み放題プラン)のいずれかを選べます。例えば、積み放題プランを利用し、家財道具を一軒家丸ごと処分した場合、料金の目安は17万円〜50万円程度です。
またトラックの大きさ(最大積載量)や台数によっても、処分費用が変わってきます。
トラックの大きさ・台数 | 費用相場 |
---|---|
軽トラック1台 | 1万円~2万円 |
1トントラック1台 | 1.5万円~3万円 |
2トントラック1台(平積み) | 3万円~5万円 |
4トントラック1台 | 10万円~30万円 |
家財処分の費用を安くするポイント
家財道具の処分費用をできるだけ安くする方法はありますか?
はい。まずはできる範囲で、不用品の量を自分で減らしておきましょう。また家財道具の一部を買取に出したり、自治体ごとの補助金・助成金制度を利用したりする方法もあります。
ここでは、家財処分の費用を安くするポイントを6つ紹介します。
持ち運べるものはできる限り自分で処分する
不要な家財道具のうち、自分で持ち運べそうなものは、できる限り処分しておきましょう。例えば、家庭ゴミとして自治体の戸別収集に出すと、粗大ゴミの処理手数料や廃家電のリサイクル料金と比べて、はるかに安く処分できます。
また前述のとおり、ほとんどの不用品回収サービスでは、トラックの大きさや台数ごとに料金が設定されています。不用品の量を減らし、より小さなトラックで処分できるようにすれば、費用をおさえることが可能です。
自治体ごとの補助金・助成金を利用する
お住まいの自治体によっては、家財道具の処分に補助金や助成金を活用できる場合があります。特に、空き家の利活用の観点から、空き家の家財処分に対し、補助金や助成金を設けている自治体が多く見られます。
例えば、東京都では空き家の所有者を対象として、家財整理にかかった料金の2分の1または5万円を上限とする補助金を支給(※)。こうした制度を活用すれば、家財処分の費用負担を軽減できます。
※東京都 空き家ワンストップ相談窓口「東京都空き家家財整理・解体促進事業補助金交付要綱」p3
買取金額がつきそうな不用品は買取に出す
家財道具の中には、リサイクルショップや買取業者、不用品回収業者などで高く買い取ってもらえるものもあります。例えば、以下のような品目は高価買取が期待できます。
- 貴金属
- 宝石
- 美術品・骨董品
- 古銭・コイン
- 正絹の着物
- 年式が新しく、状態が良い家電製品
- 状態が良い高級家具やアンティーク家具
- ギターやキーボードなどの人気のある楽器
こうした不用品を買取に出せば、売却代金を他の家財道具の処分費用に充てることが可能です。
友人や知人がいる場合は譲渡を提案する
もし友人や知人の中に、家財道具を欲しがっている人がいる場合は、無料で譲渡することも検討しましょう。特に、子ども服やベビー用品は、子育て家庭の需要が大きく、譲渡すると喜んでくれるかもしれません。
また2月から3月にかけての時期は、進学や就職を控えて新生活を始める人が多いため、家具や家電製品を必要としている人が増加します。そういったタイミングで家財道具の譲渡を提案すれば、お金をかけずに不用品を処分することが可能です。
複数の業者から「相見積もり」を取るようにする
また家財処分を依頼するときは、最初に見つけた業者だけでなく、できるだけ複数の業者に見積もりを取るようにしましょう。
見積もりが1件しかないと、提示された金額が相場より高いのか低いのかが判断できません。複数の見積もりを比較することで、予算に合った業者を探しやすくなります。
このように複数の業者に見積もりを依頼することを「相見積もり」と家財処分の費用を安くしたい場合は、相見積もりを取るようにしましょう。
追加料金がかからないように基本サービスの範囲で依頼する
不用品回収業者が提供しているサービスは、基本料金のみで利用できる基本サービスと、追加料金が発生するオプションサービスの2種類に分かれています。
できるだけ基本サービスの範囲で家財道具の処分を依頼すると、追加料金がかからないため、費用負担をおさえられます。
例えば、基本サービスには以下のような作業が含まれることが一般的です。
- ゴミの仕分けや搬出
- 不用品の処分や買取
- 貴重品や重要書類の探索
- 掃除機などを用いた簡易清掃
家財道具処分の業者選び4つのポイント
業者選びに当たって、何か注意すべき点はありますか?
不用品回収業者の中には、違法な高額料金を請求する悪徳業者が存在しており、消費者庁も注意喚起を行っています。多角的な視点から、信頼できる業者かどうかを判断することが大切です。
ここでは、家財処分の業者を選ぶときのポイントを4つ紹介します。
家財処分の料金体系が明確に表示されているか
まずは、不用品回収業者のホームページなどに、家財処分の料金体系が明確に表示されているかを確認しましょう。
- プランごとの詳しい説明が記載されているか
- 品目ごとの処分料金が表示されているか
- オプションサービスの内容や費用が表示されているか
- 追加料金が発生する条件が明記されているか
- キャンセル料金についての記載があるか
料金体系が曖昧な場合は、悪徳業者の可能性が高くなります。後でさまざまな理由を付け、追加料金を請求される恐れがあるため、利用は避けた方が無難です。
お得な積み放題プランがあるか
大量の家財道具を一度に処分したい場合は、お得な積み放題プランがあるかを確認しましょう。
積み放題プランとは、不用品1点ごとではなく、トラックに積み込めるだけ積み込んで不用品を処分できるサービスです。不用品の量にかかわらず、トラックのサイズに応じた定額料金で回収してくれるため、家財道具をまとめて処分したい場合に適しています。
過去の実績や口コミを確認できるか
ただし、積み放題プランを申し込む前に、過去の実績や口コミを確認しておくことをおすすめします。
消費者庁によると、令和元年9月頃から、「定額料金以外に、Webサイトに表示されていなかった処分費用などの名目で追加料金を請求された」といった相談が、全国各地の消費生活センターに寄せられているためです(※)。
Googleマップなどの口コミサイトを利用し、「利用者の満足度が低くないか」「過去にトラブルを起こしていないか」を確認するとよいでしょう。
※消費者庁「ウェブサイト上で「お得な定額パック 定額パック料金は、全てが込み込みの料金」などの広告・表示をして不用品・粗大ごみ回収サービスを提供する事業者に関する注意喚起」
一般廃棄物処理業の許可を持つ業者か
一般家庭から出る不用品を回収できるのは、市区町村の「一般廃棄物処理業」の許可を取得した業者か、直接委託を受けた業者に限られます。例えば、中古品の買取販売が可能な「古物商」の許可では、不用品(買取対象にはならないもの)の回収はできません。
家財処分を依頼する前に、正しい許可を持つ業者かどうかを確認しましょう。
ホームページなどを確認して、信頼できそうな業者を探してみようと思います。
一つずつホームページをチェックするのが大変、という方の場合は、不用品回収業者の比較サイトを利用するとよいでしょう。
家財道具の6つの処分方法を知り、自分に合った手段を選ぼう
家財道具を処分する方法は以下の6つです。
- 自治体の戸別収集を申し込む
- 不用品回収業者に相談する
- 引越し業者の引取サービスを利用する
- 遺品整理業者に依頼する
- リサイクルショップや買取業者に売却する
- ネットオークションやフリマアプリを利用する
それぞれのメリットやデメリットについて知り、自分に合った方法で不用品を処分しましょう。
日本大学文理学部卒。後に、不用品回収専門メディア「不用品回収の窓口」に参画。信頼関係を第一に考え、多くの不用品回収業者の業務改善に注力する。同時に、環境省が主催する「使用済製品等のリユース促進事業研究会」へ定期的に参加し、不用品回収業者と協力して不用品回収やゴミ問題解決に取り組んでいる。不用品に関する多様な記事の執筆・監修も積極的に担当。