洗濯機が古くなってきたので、そろそろ買い替えようと思います。洗濯機は自治体の粗大ゴミとして処分できますか?
いいえ。洗濯機は特定家庭用機器廃棄物と呼ばれ、粗大ゴミ(大型ゴミ)として処分できません。洗濯機の正しい捨て方を知っておきましょう。
不要になった洗濯機を処分する場合、リサイクル料金や収集・運搬料金の支払いが必要です。まだ使える状態であれば、中古品として売却(リユース)する方法もあります。
この記事では不用品回収のプロが、洗濯機を適切に処分する方法や、処分費用の目安、気を付けたい注意点について紹介します。
日本大学文理学部卒。後に、不用品回収専門メディア「不用品回収の窓口」に参画。信頼関係を第一に考え、多くの不用品回収業者の業務改善に注力する。同時に、環境省が主催する「使用済製品等のリユース促進事業研究会」へ定期的に参加し、不用品回収業者と協力して不用品回収やゴミ問題解決に取り組んでいる。不用品に関する多様な記事の執筆・監修も積極的に担当。
このページの内容
洗濯機を処分する前に知っておくべきこと
洗濯機を捨てる前に、知っておくべきことを教えてください。
はい。洗濯機は家電リサイクル法という法律の対象品目です。洗濯機を処分する際は、家電リサイクル法の内容を理解し、必要な許可を持つ回収業者に依頼する必要があります。
ここでは、洗濯機を処分する前に知っておきたい基礎知識を紹介します。
家電製品の処分に関わる家電リサイクル法とは?
家電リサイクル法(特定家庭用機器再商品化法)とは、“一般家庭や事務所から排出されたエアコン、テレビ(ブラウン管、液晶・プラズマ)、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機などの特定家庭用機器廃棄物から、有用な部品や材料をリサイクルし、廃棄物を減量するとともに、資源の有効利用を推進するための法律”です(※)。
家電リサイクル法の対象品目は、販売店によって引き取られ、メーカー(製造業者)によるリサイクルが行われます。そのため、廃家電を処分する際は、リサイクル料金と収集運搬料金の支払いが必要です。
洗濯機は家電リサイクル法の対象品目の一つ
家電リサイクル法の対象品目は以下の4つです(※)。
- エアコン
- テレビ(ブラウン管、液晶・プラズマ)
- 冷蔵庫・冷凍庫
- 洗濯機・衣類乾燥機
いずれも家庭用機器のみが対象です。
洗濯機・衣類乾燥機も家電4品目に含まれており、リサイクル料金と収集運搬料金を支払って処分しなければなりません。
なぜこの4品目が家電リサイクル法の対象なんですか?
こうした家電を解体処分する設備がほとんどの市区町村にないことや、有用な資源が比較的多く、リサイクルの価値が高いことが理由として挙げられます。対象品目は増えていませんが、2024年4月1日から有機ELテレビも家電リサイクル法の対象となりました(※)。
※ 経済産業省「家電4品目の「正しい処分」早わかり!」
※ 環境省「「特定家庭用機器再商品化法施行令の一部を改正する政令」が閣議決定されました」
家電リサイクル法に基づく正しい処分の流れ
洗濯機が不要になったら、以下の流れに沿って正しく処分しましょう。
- 洗濯機に合った処分方法を確認する
- 引取を依頼する場合、指定した日時に回収業者が訪問する
- 回収業者にリサイクル料金と収集運搬料金を支払う
- 回収業者から家電リサイクル券の控えを受け取る
家電製品協会(家電リサイクル券センター)のホームページで、「正しい捨て方・回収依頼の方法」をチェックすることも可能です。
家電リサイクル券って何ですか?
家電リサイクル法に基づいて、家電製品を正しく回収したことを証明するためのものです。家電リサイクル券の控えを保管しなくても法律違反にはなりませんが、必ず受け取る必要があります。
洗濯機の平均使用年数は約10.9年
内閣府の「消費動向調査(令和6年3月分)」によると、洗濯機(電気洗濯機)の平均使用年数は約10.9年です(※)。平均して約10年に一度、洗濯機を買い替えている人が多い計算になります。
購入してから10年経っていなくても、以下のような兆候が見られる場合は故障の疑いがあるため、買い替えを検討するとよいでしょう。
- 異音や異臭がする
- 電源が入らないことがある
- 運転中に止まることがある
- 水漏れしている
- 脱水・乾燥がうまくできない
- 使用中に電源コードが発熱している
洗濯機を買い替えるか、修理するか迷っています。どのような基準で判断すればよいですか?
家電製品によって、メーカーが修理用の部品(補修用性能部品)を保有する期間が決まっています。洗濯機(電気洗濯機)の場合、保有期間は6年です(※)。購入してから6年以上経っている場合は、メーカーの元に部品がない可能性があります。そのため、修理ではなく買い替えを検討するとよいでしょう。
※ 内閣府「令和6(2024)年3月分調査」p11
※ 一般社団法人 日本電機工業会「補修用性能部品の保有期間」
洗濯機の処分にかかるリサイクル料金の目安は2,530円
不要になった洗濯機・衣類乾燥機を処分するには、リサイクル料金と収集運搬料金の支払いが必要です。
リサイクル料金は、メーカー(製造業者)によって異なります。最新のリサイクル料金は、家電リサイクル券センターのホームページで確認することが可能です。
以下の表は、主なメーカーごとに洗濯機のリサイクル料金をまとめたものです(※)。主要メーカーのリサイクル料金は、一律で2,530円となっています。
メーカー名 | リサイクル料金 |
---|---|
パナソニック(株) | 2,530円 |
パナソニック(株)(三洋電機) | |
東芝ライフスタイル(株) | |
日立グローバルライフソリューションズ(株) | |
シャープ(株) | |
三菱電機(株) | |
(株)富士通ゼネラル |
洗濯機の収集運搬料金は、引取を依頼する販売店(家電量販店など)や、回収業者によって異なります。実際の金額については、販売店や回収業者に直接問い合わせるとよいでしょう。
リサイクル料金を支払わずに洗濯機を処分する方法はありませんか?
中古品としてリユースショップ(リサイクルショップなど)に売却する場合、リサイクル料金はかかりません。ただし、故障しているなど製品として使えない状態の場合、リユースはできないため注意しましょう。
※ 一般社団法人 家電製品協会 家電リサイクル券センター「リサイクル料金 主要メーカー一覧」
洗濯機を適切に処分する7つの方法
洗濯機を適切に処分する方法は7つあります。新しく買い替える場合は下取りを、過去に購入した店舗が分かっている場合は引取を依頼するとよいでしょう。
店舗名を覚えていない場合は、自治体指定の回収業者か、お近くの不用品回収業者に相談してください。
新しく買い替える場合は下取りを依頼する
家電リサイクル法では、家電4品目の販売店での引取や、製造メーカーへの引き渡しを義務付けています。
洗濯機を新しく買い替える場合は、下取りサービスの利用がおすすめです。下取りとは、その店舗で新しく製品を購入することと引き換えに、古い製品の引取を依頼できるサービスです。
引取方法は販売店によって異なるため、洗濯機を購入する店舗に問い合わせてください。
下取りを依頼する際も、リサイクル料金などはかかりますか?
はい。不要になった家電(廃家電)の処分には、リサイクル料金の支払いが必要です。自宅まで回収しにきてもらう場合は、収集運搬料金も発生します。
購入した販売店に引き取ってもらう
洗濯機の処分だけする場合も、購入した販売店が分かっていれば引取を依頼できます。インターネット通販で洗濯機を購入した場合も同様です。
販売店の連絡先は、製品の保証書・納品書などに記載されています。購入した店舗に連絡し、使わなくなった家電のリサイクルを依頼しましょう。
引取を依頼する場合も、リサイクル料金と収集運搬料金(自宅まで回収しにきてもらう場合)の支払いが必要です。
他の市区町村に引っ越す場合も、洗濯機の引取を依頼できますか?
はい。引っ越し先の地域に系列店があれば、リサイクルを依頼できます。系列店を通じて、自宅まで回収しにきてもらうことも可能です。
自治体指定の回収業者に処分してもらう
洗濯機を購入した店舗が分からない場合、選択肢は4つあります。
- お近くの家電販売店に相談する
- 自治体の指定業者へ依頼する
- 指定引取場所に自分で持ち込む
- 不用品回収業者に回収してもらう
お住まいの市区町村によっては、家電リサイクルに対応している販売店がないケースもあります。その場合は、自治体が指定する回収業者に依頼するとよいでしょう。例えば、東京23区の場合、家電リサイクル受付センターが家電4品目の回収依頼の受付を行っています。
ただし、自治体の指定業者は玄関先での引取が基本です。設置場所から洗濯機を自分で運び出す必要があります。
指定引取場所に自分で持ち込んで処分してもらう
洗濯機を運搬する手段がある場合は、指定引取場所に自分で持ち込み、処分してもらう方法もあります。
指定引取場所とは、家電メーカーが製品のリサイクルを行う場所のことです。販売店などで回収された廃家電は、指定引取場所に運び込まれてリサイクルされます。指定引取場所に洗濯機を持ち込む場合、収集運搬料金はかかりません。
ただし、家電リサイクル券は自分で用意する必要があります。家電リサイクル券は郵便局に備え付けられているため、必要事項を記入し、リサイクル料金を支払って指定引取場所に持って行きましょう。
フリマアプリやネットオークションで売る
洗濯機がまだ使える状態の場合、リサイクル料金を支払わずに処分できる可能性があります。例えば、以下のような方法です。
- フリマアプリやネットオークションで売る
- リユースショップ(リサイクルショップ)に買取を依頼する
フリマアプリやネットオークションを利用すれば、自分のペースで洗濯機を売却することが可能です。
ただし、個人間の取引となるため、トラブルに巻き込まれる可能性もあります。購入者と連絡を取る際は、氏名や住所などの個人情報を慎重に取り扱いましょう。
まだ使えるものはリサイクルショップに買い取ってもらう
個人間の取引に不安がある場合は、リサイクルショップに買取を依頼するという選択肢もあります。使わなくなった家電を再利用(リユース)する場合、リサイクル料金はかかりません。
ただし、洗濯機の状態によっては、買取対象とならない場合もあります。買取基準はショップによって異なるため、個別に問い合わせを行ってください。
一般的には、製造から年数があまり経っておらず、人気のメーカーの製品である場合、買取対象となる可能性が高くなります。
どのくらい年数が経っていると、買取対象にならないんですか?
経済産業省の推計によると、製造から7年以内の洗濯機であれば、リユース品として一定の需要があると考えられます(※)。ただし、本来なら廃家電として処分すべき洗濯機を、無料で買い取るとうたう悪徳業者も存在するため、リユースショップの利用には注意が必要です。
※経済産業省「小売業者による特定家庭用機器のリユース・リサイクル仕分け基準作成のためのガイドラインに関する報告書」p20
不用品回収業者に依頼して回収してもらう
もう使えない状態の洗濯機を処分するなら、不用品回収業者に依頼するとよいでしょう。自治体の指定業者と違って、自宅の設置場所まで回収しにきてもらうことが可能です。
ただし、不用品回収業者の中には悪徳業者も存在します。悪徳業者に依頼した結果、高額な料金を請求される被害も発生しているため、信頼できる業者を選ぶことが大切です。
家電リサイクル券の控えを発行してくれない業者は、必要な許可のない悪徳業者の可能性が高いため、廃家電を引き渡さないようにしましょう。
回収業者に必要な許可には、どのようなものがありますか?
廃家電の回収には、一般廃棄物処理業の許可が必要です。または市区町村から直接委託を受けている場合に限られます。
洗濯機を処分する際に気を付けたい2つの注意点
ここでは、洗濯機を処分する際に気を付けたい注意点を2つ紹介します。
洗濯機を処分する前に必ず水抜きをする
洗濯機を回収業者に引き渡す前に、必ず水抜きをしましょう。事前に水抜きをしていないと、運搬中に水漏れが発生する恐れがあります。
水抜きが必要なのは、給水ホースと排水ホースです。給水ホースは、洗濯機の水道栓を閉じた状態で、約1~2分運転すると水が抜けます。
排水ホースの水抜きは、あらかじめタオルや雑巾を用意してください。排水ホースを排水口から外すと、洗濯機の本体側から水が出てくるため、タオルや雑巾で受け止めましょう。
不用品回収業者に依頼する場合は悪徳業者に注意する
不用品回収業者に依頼する場合は、悪徳業者に注意しましょう。環境省は、悪徳業者の特徴として以下のような点を挙げています(※)。
- 街中を大音量で巡回している
- 空き地で回収を行っている
- 「格安回収!」などと宣伝するチラシを配布している
- 「何でも回収します!」などとうたうインターネット広告を出している
こうした悪徳業者に廃家電を引き渡すと、不法投棄や不適正な処理による環境汚染のリスクがあります。また悪徳業者から、高額な料金を請求された事例もあります。
もう使わない洗濯機を処分する際は、信頼できる不用品回収業者を探すことが大切です。
※環境省「廃棄物の処分に「無許可」の回収業者を利用しないでください!」
不要になった洗濯機は家電リサイクル法に基づいて正しく処分を!
洗濯機は、家電リサイクル法の対象品目の一つです。不要になった洗濯機は、家電リサイクル法に基づいて正しく処分しましょう。
洗濯機の回収業者には、無許可の悪徳業者も存在するため注意が必要です。悪徳業者を避けるためにも、不用品回収業者を探す際は比較サイトやポータルサイトの利用をおすすめします。全国の優良店から、一括で見積もりを取ることが可能です。
日本大学文理学部卒。後に、不用品回収専門メディア「不用品回収の窓口」に参画。信頼関係を第一に考え、多くの不用品回収業者の業務改善に注力する。同時に、環境省が主催する「使用済製品等のリユース促進事業研究会」へ定期的に参加し、不用品回収業者と協力して不用品回収やゴミ問題解決に取り組んでいる。不用品に関する多様な記事の執筆・監修も積極的に担当。